観劇レビュー・感想

ネモ船長と皆殺しのジュール・ヴェルヌ(「CAPTAIN NEMO」感想)

こんばんは。

宝塚男子ピエールです。

実は本日ピエールは残っていた夏休みの一日を行使して、
とある高級リゾート地にバカンスに来ておりますヾ(* ̄∀ ̄*)ノ

(高級リゾート府中のイメージ図 ※実物とは異なる場合がございます)

もしかしたら何かニュースが発表されているかも知れない金曜日ではありますが、
帰りが遅くなりそうなため本日の記事はお馴染み予約投稿にて失礼致します。

 

そんなこんなで、先日ブログをサボっている最中、
彩風咲奈さん主演の日本青年館公演「CAPTAIN NEMO…ネモ船長と神秘の島…」を観てまいりましたので、
マトカにバカンスに行ったときのお話をさせていただこうかなと。

気分が落ちているときに観るには少々ポップさに欠ける作品だったような気もしますが(笑)。

でもこの公演、初日が明けてからかなり辛辣な感想が飛び交っていましたよね(^_^;)

いったいどれだけ酷い作品なんだろうとドキドキしながら観に行ったのですが。

 

そんなに悪くなかったですよ?( ̄∀ ̄)

 

というのがピエールの感想です(笑)。

いや、決して名作だと思ったわけではないですし、
いろいろツッコみたくなる気持ちも分かるのですが。

かと言って、今まで観てきたいろんな作品と比べて「ネモ」が突出して酷い作品だとは全く思いませんでしたし、
ピエール的にはそれなりに楽しめる作品だったんですけどね~(´・ω・`)

これがそんなに駄作だ駄作だと言われるなら、
これよりもっとドイヒーな作品いくらでもあったんじゃないかと……。

「これを楽しめてこそ宝塚ファン」みたいなことを言うつもりはないのですが、
「これも楽しめたらより幸せ」な気はします(笑)。

いや、だって宝塚に限らず、何事もストライクゾーンが広い方が幸せじゃないですか?( ̄∀ ̄)

 

しかし何だかさきちゃんの東上初主演が、
実際以上に酷い作品だったと語り継がれてしまいそうなのがちょっと心配で……。

特に今回は、東上主演というチャンスがいかに貴重なものかというのを、
今まで以上にしみじみと感じていたタイミングだったのでねぇ(´・ω・`)

何かあれですよね。

「ネモ」に対する酷評の嵐って、作品そのものに対するものというより。

「脚本・演出 谷正純」←これに対する予行演習通りの反応みたいなものなんじゃないでしょうか(笑)。

極端な例えですが、これがもし「脚本・演出 上田久美子」として上演されていたら、
「これはなかなか難しい作品だけど、さすが久美子先生、実に奥深い」とか、
「初見ではなかなか自分の理解が追いつかなかったけど、回を重ねるごとに泣けてきた」とか、
「これだけクセのある作品を当ててきたのは、久美子先生のさきちゃんに対する期待と信頼の表れに違いない」とか。

何かそんな好意的な反応もたくさん出てきていたんじゃなかろうかというくらい、
先入観って怖いなっていうのをちょっと感じました(^_^;)

今回の公演は東京公演が先なので大阪公演がこれから待っているところではありますが、
場合によってはネタバレも書いてしまうかも知れませんので、
これからご観劇予定の方はお読みいただくかどうかは自己責任でお願いできたらとm(_ _)m

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谷正純先生の作品

いきなり谷先生を擁護してるのかディスってるのか分からないことを書いてしまいましたが(笑)。

ピエール、谷先生の作品、決して嫌いじゃないのです。

最近では谷先生に限らずベテランの先生ってディスられる傾向がありますが、
宝塚ファンになってから観てきた谷先生の作品は結構好きな作品もあった気がします。

初めて観た「1914/愛」も(世間的な評判はどうだったのか分かりませんが)すごいゲラゲラ笑えて面白かったですし、
でも笑いだけじゃなくてグッとくる台詞や歌詞もあったりして。

 

「皆殺しの谷」と言われるように人が大量に死ぬことが多いのは、まぁたしかにそうだなと(^_^;)

でも「ネモ」に関して言えば、ピエールが観た映画版だとホントに片っ端から死んでた気がするので、
むしろ宝塚版では谷先生が割りと慈悲を見せたなって感じたくらいでしたよ(笑)(//∀//)

ちなみに映画だとたしか、技術の流出を防ぐために島ごと爆破していたような気がする……。

なので、少なくとも今回は、
別に谷先生が勝手に登場人物を殺して回ったわけじゃないことはお伝えしておきたいなと。

あの結末は「皆殺しの谷」ではなく「皆殺しのジュール・ヴェルヌ」のせいだと思います(笑)。

だけど、ピエール的にはあの終わり方も結構グッと来たんですけどね~。

映画だとただ単に追い詰められて死んだ印象でしたが、
宝塚版であの人やこの人が死んだのは大切な人たちを守るために命を懸けた、っていう見方もできますし。

「あー、やっぱ谷先生は殺したよ~」っていう表面的なところだけが注目されてしまってるのがちょっと残念でした(>_<)

「家族」と「マトカ」

この「ネモ」が駄作とか珍作とかいう印象を与えたのって、
「家族」とか「マトカ」っていう言葉がやたら繰り返される歌も一つの理由な気がします(あと『らーらーららー』)。

たしかにあれに関してはピエールも、
「ちょっと同じワード繰り返しすぎなんじゃないかな~」と思いました。
(ちなみに「マトカ」はネモ船長たちが棲み処にしている島の名前です)

今の時代だと「家族」って言葉がチープに聞こえてしまうのもあって、
「このやたら家族推しの謎の歌はいったい何が言いたいんだ……( ̄∀ ̄;)」って印象にもなるだろうな~と。

でもな~、谷先生の歌詞って結構いいのもあるんですけどね~。

「ネモ」に関しては一回観ただけなのでどの曲のどの歌詞がってところまで語れないのですが。

「JAZZYな妖精たち」瀬奈じゅんさんが歌う、
「『危ない、気を付けて』って人に教えておきながらウッカリ自分が転んじゃう、君のそんなところが好き(だいぶニュアンスです)」
みたいな歌詞とかすごい好きでしたし。

谷先生の書く歌詞は、よく聴くと誰かを見守るような優しい歌が結構多いと思うのですよ(皆殺すわりには意外にも)。

なので「家族」とか「マトカ」の連呼みたいな曲ばかりがやり玉に上げられてるのはちょっと淋しいな~と……。

曲調も「古臭い」って言われているのを見かけたんですが、
ピエールは谷先生の作品!って感じのちょっと古風な曲調も好きなのです。

あの「谷感」好きなんだけどな~、と帰りに姉と盛り上がっておりました(笑)。

最近多いピコピコした打ち込み系の曲とかよりずっと、
「(皮肉とかではなく)宝塚を観た~」って気分に浸れるんですけどね~。

CAPTAIN SAKINA

と、何か湿っぽくなってきてしまったので出演者の方々について思ったことを書きたいなと。

まずは東上初主演のさきちゃん。

何よりもまずスタイルがいい!

以前から分かってはいましたが、真ん中に立つとさらにスタイルの良さを感じますよね。

しかもガリッガリに細長いわけじゃないから、男役としての安定感も感じますし。

 

ネモ船長という役は、すごい難しい役だと思います。

主人公のわりにあまり動きが無いというか、
悟りを開いたようにカリスマ性を放っている人物なので、
感情も見えにくくて大きな動きで存在感を放てない役ですし、
一歩間違えたら「つまらない役」にもなってしまいそうですよね。

かと言って、ネモが感情を露わにして激しく動き回るようなことをしてしまうと、
ネモ船長のカリスマ性が薄れてしまいそうですし。

なので、東上初主演というタイミングでこの役に当たったのが、
さきちゃんにとってはかなりの挑戦だったんじゃないかなと。

そういう意味だと、さきちゃんファンとしての目線で見たら、
「せっかくの東上初主演がこの捉えどころのない役なんて~(>_<)」
とちょっと物足りない気持ちになるのは分かる気もします。

でも逆に言うとこの役を経験したのは絶対今後の糧になると思いますし、
特に谷先生はお稽古がすごい厳しくてしつこいことで有名ですし、
動かないお芝居を身に付けるチャンスなのかも知れませんね。

その他のキャストについて

ヒロインの彩みちるさんの演じるレティシアは、逆にわりと主張の強いヒロインで。

彩さんがすごくお芝居に圧のある娘役さんというイメージがあるので、
そこがさらに相対的にネモ船長が動きを感じない印象になった理由かもな~と。

「ドン・ジュアン」のときは望海風斗さん(だいもん)とすごい迫力あるお芝居のぶつかり合いをしていた印象だったので、
だいもんのように力強いタイプのお芝居をする人や、
主人公が激情型の作品のヒロインのときの方がより持ち味が生かせる娘役さんなのかもしれないと思いました。

 

今回が雪組デビューとなった「鎌倉の妖精」こと朝美絢さん。

もう語るまでもないと思いますが、軍服が似合う!

イギリス海軍に対するトラウマを持った人たちがマトカの島にはたくさんいるので、
「みんなが怖がるからその軍服を脱いで着替えてください」って言われるんですが、
朝美ちゃんは「私はこの海軍の軍服を脱ぐつもりはない!」と言って断るんですね。

あの場面、「そうだよ!まだもうちょっとその軍服姿見せといてよ!」っていう客席の空気を感じました(笑)。

さきちゃんと比べると小柄ではありますが、
やっぱり宝塚でもトップクラスに華やかな顔立ちなので、
舞台に登場しただけですごい目を惹きますよね~。

朝美ちゃんの登場シーン、いっせいにオペラグラスが上がるという、
美しいものが登場したときに多発するあの現象が起きてました(//∀//)

あと、フィナーレを見ていて思ったのですが、
ピエールは朝美ちゃんのダンスも好きみたいです!

ダンスって上手いとか下手とかあまり分からないのですが、
朝美ちゃんが片腕を伸ばして「シュパッ!ヾ(`・ω・´)」ってポーズを決めるときの腕の止め方とその瞬間の挑発的な表情が好きです(≧∀≦)

 

そして「トワキン・スカイウォーカー」こと永久輝せあさん。

さきちゃんと朝美ちゃんが割と「静」な役だったので、
もしかしたら一番オイシイ役はトワキンの演じるシリルかも知れませんね。

ず~っと喋ってる軽薄なキャラクターなので、
たぶん台詞の量だけで言ったら一番多かったんじゃないかと。

シリルに関する終盤の展開は、普通に「まじか!」って驚かされました(//∀//)

ちなみにトワキンって歌とかの技術はしっかりしてると思うんですが、
まだお芝居に関してはちょっと発展途上なんじゃないかと思っていて。

主演した新人公演の映像とかを見ていても、
本役の早霧せいなさんがいろんな役に憑依したように演じ分けているのに対して、
トワキンはまだどの役をやっても「永久輝せあ」に見えてしまう印象があって。

もちろんまだ新公学年なのでそれも当然であってこれから成長していけば全然いいと思うんですが、
抜擢が早い分そういう面も目につきやすく感じるのかも知れません。

しかし谷先生はすっごい細かくお芝居の稽古を徹底する先生として有名なので、
たぶんトワキンも相当細かい指導を受けて充実した経験がでてきるんじゃないかなと。

おそらくそう遠くない未来にバウ初主演とかの機会も訪れると思いますが、
そのときは若手の先生の現代的な作品とかで下手に萌え散らかすよりも、
ある程度ベテランの先生の重厚感のある作品で主演できた方が、
長い目で見たときにトワキンにとって大きな糧になるかもな~と思いました。

 

ということで、ちょっといろいろバタバタした中での観劇だったので、
すでにちょっと記憶も薄れて来てしまっているところなのですが。

あまりにも近年まれに見る酷評の嵐が淋しかったので、
敢えて個性を放つために「この作品、結構好き」っていう目線から書いてみました(笑)。

ツッコミどころはもはやいろんなところで指摘されてるので、
今さら書いても「それは知ってる」って言われそうですしね(^_^;)

でも本当に、いろいろツッコミたくなるところはありつつも、
ピエール的にはわりと普通に楽しめました( ̄∀ ̄)

決して「是非一人でも多くの人に観て欲しい!」というほど名作ではないかも知れませんが、
少なくともここ10~20年の他の作品に比べて極端にドイヒーなんてことはないんじゃないかな……と思いました。

これから大阪でご覧になる予定の皆さまは、
どこをどう切り撮っても楽しめるポイントが一つも無いという人はそんなにいないんじゃないかなと思うので、
できればあまり先入観に囚われず、
古き良き時代の宝塚らしい品格に溢れた世界だったり、
東上初主演のさきちゃんや、雪組デビューの朝美ちゃんや、
いろいろ活躍の場をもらっている雪組の皆さんの活躍を楽しんでくださいませヾ(* ̄∀ ̄*)ノ

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