観劇レビュー・感想

なんやかんやでハッピーエンド(「カンパニー」感想その2)

こんばんは。

宝塚男子ピエールです。

ということで本日は、
月組公演「カンパニー」の感想の続きを書かせていただきたいなと。

前回はちょっと不満点について挙げ連ねてしまったので、
今回は「カンパニーってこんないい作品だよ!」っていうのを書かせていただきたいのですが。

 

が、その前に。

ピエール、宝塚に限らず映画とか小説とかでも、
「メッセージ性の強い作品」ってそんなに好きではないのですよ。

宝塚ファンになったばかりの若い頃は逆にそういう作品も大好きで、
二十歳前後の頃とかは特にいわゆる名作と言われる映画とかを観て、
命の大切さだったり人種差別だったり世界平和のために自分が今何ができるかだったり、そりゃもういろんなこと考えてました。

正確に言うと、考えてる自分が好きなだけだったのかも知れません。

考えるだけで何も行動は起こしてなかったのがその証拠かなと(笑)。

でも年を取ってくるとだんだんそういうの考えるのも疲れてきて。

だってね、生きてると嫌でもいろんなこと考えなきゃいけなくなるじゃないですか。

だから、宝塚とか映画を観てるときくらい何も考えずに楽しみたい、って思うようになってきたんですよね。

と言っても設定が浅い作品が好きとかいうのではなくて、
あくまで作品の世界の中での深みというのはあって欲しいんです。

なので登場人物の思いの深さとか、人間関係の機微とか、
「こういうことを考えてたんだろうな~」とか「あの後どうなったのかな~」とかそういうのを考えるのは好きなんですが、
現実世界のあれこれに結び付けて「いろいろ考えさせられる」というのは疲れてしまいまして。

 

で、話を「カンパニー」に戻しますと。

石田先生、いろんなメッセージというか、
「思い」みたいなものを込めてこの作品を作られてるな~と感じたんですよね。

その多くは今の宝塚やエンタメ業界そのものを取り巻く状況に対してのもののようにも思えたりしまして。

「金で役を買う」というのは下級生が何らかの理由で爆上げされることで上級生が蔑ろにされる状況や、
でもそれでも下級生も何とか実力で自分のポジションに追いつこうともがいているジレンマだったり。

「一番チケットを売った人が一番いい役をもらえる(ニュアンス)」みたいな台詞は、
正規と言えるのかどうか分からないルートに回るチケットが増え過ぎていることに対する皮肉にも思えたり。

バレエに出演するバーバリアンに対してネットに批判を書き込まれてることに対して、
「ファンもアンチも根っこはいっしょのかまってちゃんだ」っていう台詞は、
ネットが普及しすぎて観客があまりに好き勝手なことを無責任に発信できるようになってしまったことだったり。

エトセトラ、エトセトラ……。

って、最初の方は「ああ、石田先生もいろいろ思うことがあるのかなぁ……」って考えながら聞いてたんですが。

さすがに相撲の話とか時事ネタっぽいのが次から次へと出てきて。

 

メッセージが渋滞しとるわ!!(゚∇゚;)

 

って途中からおなかいっぱいになってしまいました(笑)。

そういえば、たしか「ヴァンパイア・サクセション」でも「みんなブログにいろいろ書いて何が楽しいんだ」みたいな話が出てきて、
宝塚ブログやってる人間の端くれとして、
「ふぇーーーーん、石田先生にディスられたーーーー( ;∀;)」
って思ったのを覚えております(笑)。

まぁ、メッセージ性のある作品が好きな人もたくさんいらっしゃると思うので、
何か作品を通して伝えたい思いを込めること自体は悪いことではないとは思うのですが。

何て言うか、もうちょっと作品ごとに何か一つに絞った方が伝わりやすいんじゃないかなと……(^^;)

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魅力的な登場人物

ということで、今度こそ「カンパニー」の良かった点を書かせていただきたいと思います。

まず一番思ったのは、魅力的かつ豊富な登場人物かなと。

珠城りょうさん(たまきち)演じる主人公の青柳誠二、
愛希れいかさん演じるヒロインの高崎美波はもちろんのこと。

「北関東の瞳」こと美弥るりかさん演じる高野悠ももう一人の主人公と言えるくらいの存在感で。

月城かなとさんのダンス&ボーカルグループ・バーバリアンのリードボーカル水上那由多、
今回退団される宇月颯さん演じる同じくバーバリアンのリーダー阿久津仁、
美波の後輩、暁千星さん演じる長谷山蒼太などなど。

娘役さんも、退団される早乙女わかばさんの有明紗良も、
ヒロイン経験豊富な早乙女さんの最後を飾るにふさわしい存在感のある役でしたし。

海乃美月さんの瀬川由衣も最初から最後までずっと物語の展開に絡むすごく大きな役で。

冷静に考えて、娘役さんが3番手までこんなに活躍できる作品、
最近どれだけあったでしょう?ってくらいの充実ぶりだったと思うんですよね。

海乃さんなんてほとんどずっとジャージ姿なのは宝塚として賛否はあるかも知れませんが、
個人的にジャージで可愛い子って本物だと思ってるのでそれが舞台上で見れたのは何かありがたかったです(何の話)。

あとは出番こそ序盤に絞られていましたが、
美園さくらさんの鈴木舞とかもちゃんとストーリーの展開において意味のある役でしたし、
その恋人役の間内澄人を演じた千海華蘭さんとかも存在感ありましたし。

しかもそれぞれがまるで当て書きかのようにそれぞれの個性に合っていて、
オリジナルじゃないのでこれを石田先生のお手柄と言うかどうかは意見が分かれるところかも知れませんが、
オリジナルじゃないからこそ余計に、これだけ今の月組にハマる作品を持ってきたというのが本当にすごいことだと思うんですよね。

作品ありきではなく、あくまで今の月組を尊重した上でこの作品を選んだというのが伝わってきた気がします。
(そもそもこの原作を選んだのが石田先生かどうかは存じ上げないのですが)

 

最近の宝塚って海外ミュージカルの頻度が多くなっていて、
やっぱり既存のファンも多い有名作品が話題を呼ぶのも集客力があるのも事実だとは思うんですが。

でも海外ミュージカルってとかく役が少ないという問題が付きまとう作品が多くて、
宝塚という「スターありき」の劇団としてそれってどうなんだろうっていつも淋しい気持ちになるんですよね。

有名作品の力になんて頼らずとも観客を魅了できてこそ「スター」だと思いますし、
そんなスターをこれだけたくさん抱えてるのって少なくとも日本では宝塚に匹敵する劇団なんて無いんじゃないと思いますし。

だから宝塚は、たとえ世間的な話題性では劣ってしまうとしても、
スターを魅力的に輝かせられる新作ミュージカルをもっと再評価して欲しいなーと思ってる今日この頃なのです。

その点、「カンパニー」は決して海外ミュージカルのように何度も再演されるような名作ではないかも知れませんが、
いろんな月組生の魅力を引き出しているという意味では海外ミュージカルにまったく劣ってないと思いました。

 

あ。

でも唯一、キャラクター面で一つ納得いかない部分があったんですけどね。

コンビニでバイトしている美波。

今時あんな可愛い子は東横線沿い辺りのもっとオサレな制服の可愛いカフェとかでバイトしてると思うのでコンビニにはいない気がします(笑)。

石田大団円

そして石田先生の作品の特徴を一言で言いますとね。

「すみれコードをブレイクスルー」

っていうのを除くと(笑)。

「なんやかんやでハッピー」っていう感じだと思うんですよ。

わたくしこの半ば無理やり感もあるもののなんやかんやでハッピーエンドで終わってくれる作風を「石田大団円」と呼んでおりまして。

もちろん作品によって度合いは違いますし、
人が死んだり悪人が出てきたりすることはありますが、
多くの石田作品って最後なんやかんや主人公たちはハッピーエンドで締めくくることがすごく多いイメージで。

「今回は無理やりハッピーエンドにしなくても良かったんじゃない?」って思うことも中にはありますが(笑)。

少なくとも今回は、妻の死を乗り越えた誠二と、
バレリーナとして一つステップアップできそうな美波が最後に心を通わせていけそうな雰囲気になったり。

悠と由衣が「あれ?お前ら付き合っちゃう?( ̄∀ ̄)」みたいないい感じになったり。

当初は悠にぞっこんだった紗良も「もしかして那由多と……?」っていう展開になったり。

さらには澄人と舞も気付いたら最後に赤ちゃんを抱っこしてて。

クライマックスの場面で何カップルも誕生してて、
「あ~、なんやかんやみんな幸せになれそうだな~(⌒∇⌒)」
っていう清々しい気分で終われたんですよね。

まぁ、でもあれですけどね、
「澄人と舞は離婚しそうな気がする……」とかちょっと思っちゃいましたけどね(笑)。

だって売れない芸人と元アイドルランナーなんて、
絶対に舞はいつかかつての華やかな世界と、今の売れない夫との生活の落差に嫌気がさす日が来ると思うんですよね……。

澄人がどこかで大ブレイクしてくれたらいいですけど、
あの芸風だと何となく絶対売れなそうじゃないですか(笑)。

あと自分が親になった途端に命の尊みっぽいことを急に語るようになる人って経験上いまいち信用できない。

 

という感じで必ずしも今後すべてのカップルが末永く続いていくかどうかは分かりませんが、
そんな後日譚をいろいろ想像させてくれるというのも、
それだけ登場人物が魅力的で、出演者がその役にピタリとはまってる証拠なのではないかなと思うんですよね。

怪我によりアスリートの道からトレーナーに転身した由衣と、
同じく故障によりバレエの第一線に立ち続けることに挫折しつつある悠。

プロ意識を持ちながらも「所詮はアイドル」と揶揄されることに苦しむ那由多と、
バレリーナとして一流のスキルを持ちながらも親が社長であるが故に「七光り」という偏見を持たれる紗良。

どこか似たもの同士というのも心が温まる組合せだった気がしますし。

 

もちろんハッピーエンド至上主義とかいうわけではなくて、
どろどろと破滅していく、人間の業に迫るような作品もそれはそれで大好きなのですが。

少なくとも石田先生のこの「なんやかんやでハッピーエンド」っていう作風は、
絶対に石田作品の魅力の一つだと思うのです。

そして結論は前回の記事と同じようなところに辿り着いてしまうのですが、
宝塚はもっと石田作品のこういうハッピーな魅力が評価される世界であって欲しいと言いますか、
そのためにも石田先生ご自身がその魅力のかすんでしまうような「オイタ」をしないで欲しいと言いますか(笑)。

スケールが大きいわけでも、
宝塚の代表作として語り継がれるような名作でも、
ミュージカルの概念を覆すような意欲作というわけでもないかも知れないけれど。

「まぁなんやかんや最後は爽快な気分になれました!(⌒∇⌒)」

っていう作品があってもいいんじゃないかなと、
「カンパニー」を観ながら思ったわけでございました。

これからご覧になる方は、ちょっと「宝塚的にどうなの?」って感じるところや、
原作と変わってるところが気になることとかもあるかと思いますが、
どうかそれはそれとしてすごくハッピーな作品でもあるという部分も楽しんでいただけたら嬉しいですヾ(* ̄∀ ̄*)ノ

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