背水の陣となった二人の男(「燃ゆる風~軍師・竹中半兵衛~」感想その3)
こんばんは。
宝塚男子ピエールです。
そんなこんなで、七海ひろきさん主演のバウホール公演「燃ゆる風~軍師・竹中半兵衛~」の感想も、
いよいよ今回で最終回でございます……。
何だか、こうして感想を書き終えてしまうと、
本当に、遠征が、終わってしまう気がして……(´;ω;`)
いや、とっくに終わってるんですけどね(笑)。
あと月組とピエ茶の話もまだですし( ̄∀ ̄)
とりあえず今回もネタバレ含んで書かせていただくことになると思いますので、
観に行くことはできなかったけどスカステの放送まで内容は一切知りたくない!
という方はどうかご注意いただけたらと……。
半兵衛の心を動かした人々
前回の記事で書いていなかった中ですごく印象に残ったのが、
麻央侑希さん演じる織田信長の妻・濃姫を演じた音波みのりさん(ミノリーン)。
濃姫という人物自体が有名な存在ではありますが、
今回の「燃ゆる風」の中では史実の濃姫以上に重要な役どころだったと思います。
もう千秋楽も終わってしまったのでネタバレ覚悟で書いてしまいますが。
濃姫がね、いねのね、アレっていうね( ̄∀ ̄)
たぶんここの部分は鈴木先生のオリジナルの設定なんですよね??
いねが里子に出されたときにくるまれていた着物を見て気付くとか、
多少どこかで聞いたことのある感じはしましたが、
いねというほとんど記録が残されていないという女性や、
同じくいろいろな説が唱えられている濃姫という女性だからこそ、
こうして自由な発想で結び付けたのは面白かったな~と感じました。
若干無茶な設定のように思えなくもありませんでしたが、
きっと当時って跡継ぎを得るために他の人の子どもを実際の子どもとして育てたりとかあったんでしょうし、
こういうことって本当にあったのかも知れませんよね。
何よりミノリーンのお芝居が本当に素晴らしくて。
ヒロインではなく脇での出演というのはちょっと複雑でもあったのですが、
実際に観てみたら彼女なくしてこの濃姫という人物は描けなかったんじゃないかなと思いました。
ちょうど遠征から帰ってきた翌日に、
ミノリーンがヒロインを演じた「メイちゃんの執事」が放送されていたのですが、
あのときキャッキャした女子高生を演じていたミノリーン、
ただ学年を重ねただけでなくすごく大人の魅力溢れる娘役さんに成長したんだな~と。
ミノリーンが新公ヒロインとかバウヒロインとかに抜擢されていた頃はちょうど宝塚から心が離れていた時期だったんですが、
当時も今くらいガッツリ見ていたら、きっともっともっとハマっていただろうなぁ。
今のトップ娘役さんたちに比べるとだいぶ上級生になってしまった感はありますが、
これくらい大人の娘役になってからトップに就任した人もかつてはいたと思うんですよね。
娘役という存在がただ可愛くトップスターに寄り添うだけじゃなくて、
こうやって存在感のある大人の女性を演じられる役者なんだということに敬意を払う意味でも、
今からでもどこかしらで何かしらの形で華を咲かせる日が来れば本当に嬉しいのですが……(>_<)
半兵衛の幼馴染の三郎太を演じた天華えまくんも良かった!
七海くんのことが大好きと常日頃語っている天華くん、
いつも半兵衛の傍で戦おうとくっついている三郎太の姿に重なって、
すごく楽しそうに演じている姿が印象的でした。
新公主演も経験して、こうして着実に大きな役も与えられて、
これからますます楽しみな存在です!
やっぱり自分の推しメンのことを好きと言ってる下級生の方は、
それだけで仲間意識が芽生えて応援したくなっちゃいますよね~( ̄∇ ̄*)ゞ
三郎太は竹中家の家臣だから普段は半兵衛に対して「殿」とか呼んで基本的に敬語なんですけど、
敵の刃に倒れようとしている自分に駆け寄ってくる半兵衛に対して、
「来るなーーーー!!」って絶叫するときの迫力が凄くて。
殿を自分の巻き添えにして死なせるわけにはいかない、
殿にはまだやらなくてはいけないことがある、
そのためなら自分がここで壁になって倒れることに悔いは無い、
そんな三郎太の覚悟があの「来るなーー!!」の叫びに全て現れていた気がします。
天華くんもこれからすごくいいお芝居をする男役に成長しそうで楽しみだな~(≧∀≦)
それから松寿丸という重要な役に抜擢された天彩峰里さん(ミネリーン)。
結構長い歌のソロもあって、
やはり松寿丸という役は子役にあって小役にはあらず、
すごく大活躍を見せてくれていました!
父の官兵衛が帰ってこなくて謀反の疑いをかけられ、
信長の命令で人質である自分が殺されそうになったときに、
松寿丸は命乞いしたり泣いたり喚いたりすることを全くせず、
「自分の命など惜しくない!」と言うのです。
そんな松寿丸に幼い頃の自分の姿を重ねて、
松寿をひっぱたいて「命の使い道」について諭す半兵衛。
ここで松寿に自分が愛用していた軍配を託す場面、
すごくグッときますよね~(T^T)
そういえば前回の記事で、
秀吉が天下を取った後も半兵衛が生きていたら、
秀吉の時代ももっと違ったものになっていたのかも知れない、的なことを書いたんですけどね。
と同時にふと思ったのですが、
もしそうなってたら半兵衛と官兵衛の関係も変わっていたかも知れないんですよね。
いきなり話が飛躍するんですが、
ピエールが小中学生の頃のJリーグって、
ヴェルディ川崎が圧倒的な強さを誇っていたのですよ。
そのヴェルディをJリーグ発足時に監督として率いていたのが、
「今のシュート、キーパーいなかったら入ってましたね~!」
みたいに今ではギャグみたいな解説で人気になってしまった松木安太郎さんで(笑)。
でも、ネルシーニョという外国人コーチが加入してから、
どうやら松木さんとネルシーニョで意見が対立するようになって、
チームの統率が取れなくなってきたみたいなんですね。
すると松木さん、自らが身を引いて監督を退任したんですが、
退任会見のときに松木さんが言っていた、
「指揮官は2人いらない」って言葉がすごく記憶に残っているんです。
官兵衛が軍師として一人前になるかどうかというときに半兵衛がこの世を去ったから、
官兵衛もなるべくして秀吉の軍師となりましたが、
もし半兵衛と官兵衛がずっと共存していたら、
二人が対立してしまう日も来ていたのかも知れないなと……。
そういうところも含めて、
この二人の巡り合わせってすごい運命的なものだったんだろうなと感じました。
宝塚の話をしながら松木さんの話も差し込む、
このふり幅の広さが30代ならではだと自分では思っております(笑)( ̄∇ ̄*)ゞ
でもねぇ、Jリーグ発足当時にまさにサッカーに明け暮れていた世代のピエール。
まさか初代Jリーグ年間チャンピオンに輝いたヴェルディを率いていた松木さんが、
後にこんな芸人みたいな扱いされるおじさんになるとは思ってなかったですからね(笑)。
もしかしたら半兵衛も長生きしていたら、
松木さんみたいにギャグみたいな分析をする人に変わっちゃってたかも……と。
関ケ原の戦いとかを見て解説しながら、
「あ~!今の敵いなかったら勝ってましたね~!」とか言ったり(笑)。
そして、そんな素敵なキャストの真ん中に立つ七海くん。
様々な登場人物が竹中半兵衛という一人の男に惚れ込んでいるように、
出演者の皆さんが遅咲きの単独初主演となった七海くんを心から慕って、
初めて真ん中に立つ七海くんをみんなで輝かせようと思ってくれている様子が伝わってきて、
小っちゃなバウホールが大きな大きな愛に溢れた素敵な空間になっていました。
海外ミュージカルのような大作ももちろん楽しいけれど、
こういう愛に溢れた作品がたくさん生み出されるのも宝塚という世界の魅力ですよね。
余談ですがピエール昔、ネットで小説を書くというお恥ずかしい趣味を嗜んでいた時期がありましてね。
だんだん読んでくれる人が増えてくると、
「ピエールさん(実際は違うペンネーム)の次の作品も楽しみです!」って言ってくれるようになるのですよ。
それはそれですごく嬉しかったんですけど、
だんだんそれがプレッシャーになってきて、
渾身の一作が書けると今度はそれを超える作品を書かなきゃいけないことがすごいしんどくなって。
ピエールのような素人の遊びと重ねてしまうのは甚だ失礼とは思うのですが、
鈴木圭先生もしばらく作品を発表してなかった期間、
きっとそんな産みの苦しみを味わう辛い時間を過ごしていたんじゃないかなと、
何となく勝手に気持ちが分かるような気がして。
おそらくラインアップが発表されて世間の注目が集まる中で、
初日が明けるまでは相当な緊張感を抱えながらここまで過ごされてきたんじゃないかなと思います。
しかしこの「燃ゆる風」、ピエ茶でお会いした方々が口を揃えて、
「もっとたくさんの人に観てもらいたい!」とおっしゃっていたのですが、
実際に観てみて本当にそう感じました。
鈴木先生は決して歴史に残る超大作を生み出すタイプの演出家ではないかも知れませんが、
この「燃ゆる風」は間違いなくたくさんの七海くんファンの心に残る作品になると思いますし、
この作品で七海くんの魅力に目覚めた人もたくさん生まれたであろう、
出演者の魅力を引き出す、座付き作家ならではの素敵な作品だったと思います。
そういえば、今でこそ止まることを知らない勢いの望海風斗さん(だいもん)も、
「Victorian Jazz」でバウ初主演を果たしたときは研10と、
近年のスターの中では意外とそれほど早くなかったようで、
「ここで結果を出さないと次は無い」とすごく緊張感を感じていたことを何かのトーク番組で語っていた記憶があります。
だいもんよりさらにずっと遅れて単独初主演となった七海くんも、
きっと「ここが正念場」という思いもあったんじゃないかなと。
そして同じく、久しぶりの新作となった鈴木先生も、
この作品の評判の良し悪しによってその後の仕事も左右する天下分け目の作品だったはずで。
「再起を賭けた」と言うとちょっと語弊があるかも知れませんが、
「これがダメだったら次、次!」とは絶対に開き直れない、
お2人にとって絶対にコケるわけにはいかない勝負の作品だったと思います。
大変失礼ながらピエールも一宝塚ファンとして、
「この作品がコケたら鈴木先生またしばらく出番無くなっちゃいそうだな……」
とか思っておりました。
でも!ご覧あれ!
終わってみたら作品も七海くんのハマりっぷりも絶賛の嵐!
繰り返しますが、この作品は絶対に七海くんファンの方々の心にずっと残る作品になると思います。
そして今はただ、七海くんファンの端くれとして、鈴木先生に感謝の気持ちでいっぱいでございます。
これからも鈴木先生らしい、愛と優しさに溢れた作品を生み出して欲しいなと思うようになりました。
鈴木先生、本当に素敵な作品をありがとうございました!
そして七海くん、および出演者の皆さま、
素晴らしい思い出を本当にありがとうございました!(≧∀≦)ノシ
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