観劇レビュー・感想

美弥るりかの退団公演(「夢現無双」感想)

こんばんは。

七咲ぴえるでございます。

とてもお金が無いです(突然の報告)。

いや……マジで自分の口座の残高の低さに引いてるんですよ……。

思っていた以上にエルベに資産を注ぎ込んでいたことが今になって実感わいてきましたね……。

不幸は少しの時を置いてやってくるとは言ったもんですな……。

でもフロリアンはカードの引き落としで狼狽えたことなんて無いのだろう……?

お金は持っていてもマルギットの愛を得られないフロリアンが果たして幸せかどうかはさておき、
世の中には金も愛もどちらも持たずに孤独に生きてる人間が山ほどいるわけで、
少なくともお金の心配をしなくていいフロリアンが羨ましいのだよ……。

よく「お金じゃ買えない幸せがある」みたいなことを言うけれど、
実際はお金があることが前提になってる幸せってのがほとんどなんじゃないかなって思ったりします。

子どもがいる幸せだってお金なかったら育てられないし、
仕事にやりがいを感じてる人だって給料もらえなかったら続けられないし。

と、いうことなので、
ピエールはいつかまたお兄様の退団公演のように何度も何度も通うべき公演がやってきたときのお金を用意するために、
これからはいろいろな公演を我慢しなくてはいけなくなりそうです。

でも今回はその話じゃなくて月組の感想です。

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「夢現無双」感想

そんなこんなで先日、
月組東京公演「夢現無双」をようやく観劇してまいりました。

普段あんまりネガティブなことをあからさまに書かないようにしてきたつもりではあるのですが、
少々トゲトゲしい書き方になるかも知れませんのでお読みいただく方はご了承くださいませm(_ _)m

それからあまりストーリーについて細かく触れるわけではないのですが、
ネタバレと言えばネタバレもありますのでこれからご観劇予定の方もご注意いただけたらと思います。

 

新トップコンビ珠城りょうさんと美園さくらさんのお披露目公演にして、
月組を支えて来た二番手・美弥るりかさんの退団公演。

ちなみに僕は今回の原作はまったく読んだことはありませんし、
「バガボンド」という漫画も読んだことがありません(姉は読んでいたらしい)。

とは言え宮本武蔵という人物の名前は知っていますし、
同じ斎藤吉正先生により佐々木小次郎を主人公にして描かれた安蘭けいさん主演「巌流-散りゆきし花の舞-」もスカステで観たことがあるので、
何となーくは武蔵と小次郎という人物については世間一般の人と同じ程度は知っているつもり、という感じです。

と言っても武蔵というあらくれの剣豪と小次郎という美しき剣士がいて、
巌流島というところで決闘して武蔵が勝った、というざっくりとしたレベルですが。

しかし武蔵が語られるところには小次郎あり、
小次郎が登場する物語には必ず武蔵も登場する、というイメージで、
いわばこの2人の物語は常にダブル主演のようなドラマなのではないかなと。

美弥るりかの退団公演

美弥ちゃんがそんな佐々木小次郎という役で宝塚を卒業するということが分かり、
皆さんどう思いましたか?

誰もが知る武蔵と小次郎の物語。

そんな武蔵と小次郎を描いた作品を過去にも作っている斎藤先生だから並々ならぬ思い入れがあるはず。

しかも今回は有名な原作を基にしているらしいから素っ頓狂なストーリーになるような恐れもない。

そんな作品で武蔵と並ぶもう一人の主役とも言える佐々木小次郎という役。

美弥ちゃんが二番手という立場で退団してしまうのは本当に惜しいけれど、
きっとトップスターの退団公演にもひけを取らないくらいに華々しく有終の美を飾らせてもらえるのだろう。

むしろ美弥ちゃんの退団公演だからこそ、
それにふさわしい作品として武蔵と小次郎の物語が選ばれたのかも知れない。

そんな風に勝手に期待を膨らませてしまっていました。

が。

いざ公演を観ての気持ち。

 

斎藤先生、美弥ちゃんが退団って知らなかったのかな?

 

っていうか美弥ちゃんが二番手って知らなかったのかな?

 

っていうくらいに、正直とても消化不良な気持ちを抱えております……。

ちなみにピエール、安蘭さん主演の「巌流」が大好きだったのですよ。

歴史は勝者が作るものとかよく言われますが、
それまではずっと武蔵がいい奴で小次郎って悪者なんだろうと思い込んでいたけれど、
「巌流」は小次郎がすごく人間らしく魅力的に描かれていて。

あの作品を観て以来、俄然「小次郎派」になったくらい。

女性には「小次郎が女々しい」と言われて必ずしも好評ではなかったと聞いたこともあるんですが、
その女々しいところも含めて小次郎がすごく人間らしくて好きだったのです。

そんな風に魅力的な小次郎を描いていた斎藤先生、
何をどうしたらこうなってしまったのか……(同じ人が同じ人を描いたとはとても思えない)。

西にお住まいのお友達の方々から少なからず今回の公演の評判は聞いていたので、
いろいろと不安を抱えてのマイ初日になったのが正直なところなのですが。

でもこういうときって意外と自分で観たらそこそこ楽しめたっていうことも多いので、
今回もそうなるといいなーと思っていたりしたのですが、
残念ながらなんで皆さんがあんなにお怒りだったのかが理解できてしまったという心境……。

最初にその不安が形になったのは、
プロローグでいかにも主題歌を歌いそうな雰囲気で登場した小次郎がそのままハケていってしまったときですかね……。

美弥ちゃんが登場したときの圧倒的オーラがすごかった分、
「あれ?もうハケちゃうの?(;・∀・)」という戸惑いがすごかったです……。

斎藤先生の長所と短所

斎藤先生の作品は、たくさんの生徒さんに役と見せ場を作ってくれるのが最大の魅力だと思っています。

特に下級生ファンの方にとっては、
普段なかなか役名もつかないような下級生にも役があったりして嬉しいだろうなと。

一方、一つの作品の時間というのは決まっているので、
誰かに見せ場が与えられるということは同時に別の誰かの時間は削られるということにもなりやすいわけで。

これは僕側の都合ですが、ピエールはあまり下級生に詳しくありません。

なので、見せ場が多数の生徒さんに分散されがちな斎藤先生の作品で中堅どころの生徒さんを目当てに見ていると、
「普段だったらもっと主要キャスト感があるのにな~」と感じることが多かったりします。

特に自分の贔屓が三番手~五番手くらいの立ち位置のときって消化不良になることが多い印象で。

それでもさすがにトップコンビや二番手の役が小さくなるようなことは無いと思っていました。

でも今回の「夢現無双」という作品、
いつもの斎藤先生の作品と同じようにいろんな方が活躍している一方、
二番手であり、これが退団公演である美弥ちゃん演じる小次郎の描き方が、
あまりにあっさりしてしまっていると感じずにいられませんでした。

「金返せ」なんて言わないよ絶対

僕はどんなに話の内容がつまらなかったり好みじゃなかったりしたときでも、
「駄作だ!」とか「金返せ!」とか思った記憶は無いのです。

宝塚って「スターを見に行く」という比重が自分の中で大きいので、
目的の人が見れればなんやかんや楽しめちゃうタイプでして。

最近ネットで酷評された作品として挙げられることの多い「邪馬台国」や「ネモ」も、
周囲で言われてるよりもまぁそれなりに楽しんで帰った人間で。

なので「夢現無双」も決して「金返せ!」「観なきゃ良かった!」なんて思わなかったですし、
そこに美弥ちゃんが出ている限り充分価値があると思っていますし、
ストーリーそのものに対してすごく言いたいことがあるとかいうわけでもないのです。
(そもそもよく理解できてないというのもある)

ちょっと淡々としすぎているというか、
長い原作の「要旨」ではなく「要約」になってしまってるような印象はありますが。

もしこれが美弥ちゃんの退団公演でなく、
佐々木小次郎を演じているのが二番手スターではなかったら、
「よく分からないけど楽しかったー☆」と今回も思えたのかも知れません。

 

でも、美弥ちゃんはこの公演で退団してしまうんです。

果たしてこの作品の佐々木小次郎という役が、
美弥るりかという男役の最後にふさわしい役として描かれているかと聞かれたら、
ちょっと答えに迷ってしまうというのが正直な気持ちです……。

武蔵と小次郎の物語として一番盛り上がるのは間違いなく巌流島での決闘の場面だと思うのですが、
1時間25分を経過してもまだ話が巌流島に辿り着いてなかったときは、
「巌流島は出てこないのかな?」「もしかしてアレって創作上のエピソードなのかな?」とか思ってしまいました……。

 

宝塚はゆとり教育における徒競走みたいに横並びの見せ物ものではなく、
トップスターを頂点とする序列とスターシステムによって成立している世界だと思います。

たしかに、いろんな生徒さんに見せ場を作ってそれぞれの個性や魅力を引き出すのは、
座付き演出家の先生の大事な役割です。

けれど、それはトップスターを始め、
作品の核となるべきスターがそれにふさわしい役を当てられていることが大前提だと思います。

今回の作品は、その大前提が崩されてしまっているようで少なからず淋しい気持ちが残りました。

それでも、美弥ちゃんの姿を宝塚で見られるのはもうこの公演が最後ですし、
出演者の皆さんは毎日少しでも日々の作品を良いものにしようと舞台で奮闘されていることでしょう。

残り数回の観劇の中で、
男役・美弥るりかの姿を少しでも思い出に残せるよう、
ただひたすら美弥ちゃんの勇姿を目に焼き付けたいと思います。

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