観劇レビュー・感想

振り返るには眩しすぎる(紅ゆずる&綺咲愛里ラストデイ)

こんばんは。

七咲ぴえるでございます。

人間の感情って不思議なもので、
怒りとか悲しみって誰かがすぐ傍で怒ったり悲しんだりしてくれると、
何だか自分の怒りや悲しみが少し和らげてもらえるような気がしますよね。

という唐突な話から始まった本日の記事ですが。

まずは先日の台風19号の被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

僕自身は特に被害も無かったのですが、
地元の栃木は場所によってかなりの被害があったようで。

高校時代に通学で利用していた路線はかなり甚大な被害があって運休が続いているらしく、
まだ復旧までにはかなり時間がかかる見込みだそうです。

幸い僕の実家は少し雨漏りとかした程度で大きな被害はなく、
いつも庭に遊びに来る猫のハナちゃんもこの日だけは室内に避難させてくれました。

ちなみに翌日天気が回復してから外に出たハナちゃんは夕方再び戻って来たそうで、
「野良猫仲間の安否確認をしてきたんじゃないか」と母は言っておりました。

あ、それから友人の肉島くんちも無事だったそうで何よりでした。

 

そんな中で迎えた2019年10月13日(日)。

星組トップコンビ紅ゆずるさんと綺咲愛里さん(アイリーン)が、宝塚を卒業されました。

前日は台風の直撃により公演が中心になるという不運にも見舞われましたが、
千秋楽は綺麗な青空が広がっていました。

あとになってみたら3連休のうち土曜は台風、月曜も雨が降っていたので晴れていたのは日曜のみ。

千秋楽だけでも天気に恵まれたのは、不幸中の幸いと言うか、
感謝すべきことなのかも知れません。

先日の記事にも書きました通り、
僕は前日の11時の友の会優先公演に友達が誘ってくれていたのと、
15時半公演の前楽はピエ茶のホヌハワイさんが当ててくれたのを譲ってくださって、
本来であれば最後にマチソワができるはずでした。

しかしそれがどちらも中止になってしまい。

前回の観劇のときは「生であと2回観られる」と思っていたはずが、
突然それが0になってしまった喪失感は中止が発表されたときよりもむしろ千秋楽が終わってからじわじわ訪れているような気がします。

そして千秋楽はライブビューイング。

例のごとく強運の姉が日比谷の映画館を当ててくれたので、
劇場に一番近い場所でライビュを観ることができました。

公演自体の話はライビュをご覧になった方も多いと思うので、
どうでもいいかも知れませんが千秋楽のピエールの話を、
自分の思い出を残す意味も込めて書かせていただきたいなと……(ちょっと長いです)。

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幻の楽屋入り

まずは千秋楽当日の朝。

退団公演の千秋楽の朝と言えば、
退団者の皆さんが真っ白な装いでファンクラブや一般ファン、
たくさんの人に拍手で迎えられるというのが恒例ですよね。

七海ひろきのお兄様の退団公演のときも、
僕は3月24日の千秋楽の早朝から劇場前に並んで七海くんの最後の楽屋入りを待っていました。

あのときはまだ寒くてねぇ。

でも、たくさんのファンに迎えられて新郎衣装で登場したお兄様が本当に輝いていて、
今でもあのときの光景がはっきりと目に焼き付いてるんです。

劇場側とシャンテ側と両方をびっしりと埋め尽くしたファンを嬉しそうに微笑みながら見渡して。

「おはようございま~~す!」とちょっとふにゃんってなりながら振り返って(笑)。

「皆さんと出会えて、幸せでした!」と言ってくれたお兄様の声が少しだけ震えていて。

退団公演を追いかけていたときのことは必死で記憶が曖昧な部分も多いけれど、
あの最後の朝のことだけはすごく鮮明で。

だから、アイリーンの退団の朝も絶対に同じように見届けたいと思っていました。

 

しかし前日の台風の影響で交通機関は大幅に乱れ。

山手線などを始めとするJRも、
すでに前日のうちから日曜の午前中は計画運休とすることが発表されていました。

となると地下鉄で日比谷に向かわなくてはいけないなと。

地下鉄に乗り換えができる駅は最寄りから少し離れているので、
どうにかしてそこまで辿り着かなくてはと思いました。

当初は歩いて行く事も考えていたのですが、
当日の朝、家を出ようとしたときになって地下鉄も運転見合わせという情報が入ってきて。

これじゃ今出ても結局立ち往生してしまうと考え込んでいたのですが、
少し経ってから「7時に運転再開見込み」という発表がありました。

しかしこの足踏みしていた時間がロスになってしまい、
今から歩いて行くとおそらく楽屋入りには間に合わない時間になっていました。

けれどどうにかして最後の楽屋入りを見送りたい、
白い服を纏ったアイリーンの神聖な姿をこの目で見たいと思い、
数駅先の地下鉄の駅までタクシーで向かうことにしました。

電車で行くよりはだいぶ出費も増えてしまいましたが、
それも今日は四の五の言っていられない。

 

やがて地下鉄に乗った僕は、銀座駅に到着しました。

東京での観劇に慣れている方ならご存知かも知れませんが、
銀座駅から日比谷駅は地下でそのまま繋がっているのです。

電車で乗り換えても一駅なので、僕はいつも地下鉄で行くときは銀座駅から歩いてしまうんですね。

劇場に一番近いのは日比谷駅のA5出口(もしくはA13出口)。

地下鉄を降りて「A5、A5……」と急いでいた僕は、ここでとんでもない失態を犯してしまいます。

なんと、今まで何十回と通ったはずの「日比谷駅のA5出口」ではなく、
「銀座駅のA5出口」を出てしまったのです(そんなことある?)。

明らかに見覚えの無い景色に出てしまい、
慌てて再び地下に入って元来た道を日比谷駅方面に向かって走りました。

 

なんやかんやあってどうにか劇場に辿り着いたピエール。

しかしここで無情な知らせが。

なんと前日の台風の影響もあって、
千秋楽の楽屋入りのセレモニーは劇場ロビーで会の方だけで行われるらしいと。

一般客のほとんどは劇場の入り口前に並んでいたものの、
入口にはブラインドが下ろされてしまい中の様子はまったく見えませんでした。

それどころか退団者の方々は普段の楽屋口ではない通用口から入ったようで、
まったく姿を確認することもできず。

すぐそこにいるはずなのに、
何も見えず、何も聞こえず、いつ入ったのかすら分からないまま、
最後の楽屋入りは終わってしまっていました。

 

正直すごくションボリしましたねぇ……。

だって、お兄様の千秋楽の日から、
「アイリーンの卒業の朝も必ずここに見に来よう」とずっと決めていたのです。

どんな服を着て来るのかなとか、
どんな表情で歩いてくるのかなとか、
会の人たちはどんな掛け声をしてあげるのかなとか、
それにアイリーンは何て答えるんだろうとか、
何時ごろ来たらいい場所が取れるかなとか。

 

晴れたらいいなとか。

 

 

晴れたらいいなとか。

 

 

晴れたらいいなとか。

 

 

アイリーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!(≧∀≦)

 

って心の中で叫ぼうとか。

ずっと考えてたのでねぇ。

まさかこんなタイミングで台風が来るなんて。

もう本当にこればっかりは台風を絶対許さない……。

でも、劇場や警備スタッフの人員も予定通り確保できなかった中ではきっとやむを得ない判断だったのだと思います。

なので決してスタッフの方々を恨んでいるわけではありません。

ただ、早起きしてタクシー乗って駅の出口を間違えてまで辿り着いた自分を、
せめて自分だけは「よくやり切った」と誉めてあげたいのです(笑)。

千秋楽が無事に行えるだけでも幸せなことなんだと自分に言い聞かせ、
けれどやっぱりちょっと不貞腐れながらいったん劇場を後にしました。

 

しかし台風の影響でこの日はいつもなら開いている飲食店がことごとく準備中で。

有楽町駅方面にも行ってあっちこっち彷徨って、
どうにか開いているカフェを見つけてようやく遅めの朝食にありつけました。

何だか楽屋入りが見られることとか、飲食店が開いてることとか、電車が動いてることとか、そもそも公演が行われることとか、
いつも当たり前だと思っていたことのありがたみを感じる朝でしたねぇ。

 

そして朝食兼昼食を終え、こちらを買うためにキャトルへ向かいました。

カスタマイズCDでございます!

これ、購入した日の日付が盤面に印刷されるんですよね~。

大劇場の千秋楽のときも同じ今回の楽曲の日付入りCDを買ったのですが、
今回は楽曲はいっしょだけどせっかくだから盤面は違うのにしようと思い、
だいぶ前の公演の写真な気はしますが紅くんとアイリーンのツーショットの写真を選びました。

自宅にCDプレイヤーがBlu-rayレコーダーくらいしか無いのでなかなか聴けないんですけどね……。

PCはドライブ付いてないのでスマホに移したりとかしたいときは古いPC引っ張り出したりしなきゃいけなくて一苦労だし……。

出待ちリベンジ

やがて時刻は13時半。

千秋楽が開演する時刻となりました。

ライビュ自体の話は他の方もたくさん触れられていると思うので細かいことは割愛させていただきますが。

ものすごく悩んだのですが、ピエールは出待ちの場所を確保するために、
最後の挨拶は何度目かのカーテンコールまでで途中で席を立ってしまいました。

たしか紅くんとアイリーンが二人で登場して、
紅くんが「小林一三先生、宝塚を作ってくれてありがとうございます!!」って言ってたところまでだったかな。

本当は挨拶だって聞きたいから、ギリギリまでどうしようか悩んだんですけどね。

でも、日比谷の映画館を狙ったのも、やっぱり最後に楽屋から出てきてのパレードを見届けたいからであって。

東京の千秋楽はいずれスカイステージでもほぼフルで放送されるのを見られるけれど、
最後の楽屋出のパレードを見るのは当日その場にいないとできないことじゃないですか。

これが劇場で生で観劇していたらやっぱり最後まで見ていたいところですが(エルベのときはまさにそうだった)、
今回はライビュだし、入り待ちができなかった分も出待ちを少しでも近くで見送ることを優先しようと思い決断しました。

 

結果的にその決断が功を奏して、
袴姿で楽屋から出て来たアイリーンや紅くんのパレードを、
すごく良い場所で見送ることができました。

会の方たちの前で立ち止まって話している声もかろうじて聞こえるくらいの位置で。

ちょうどアイリーンが喋ってるときに車の音で聞こえなくなってしまったので一部だけしか聞き取れなかったのですが、
アイリーンにこれを言われたら会の人たちはすごく嬉しいんじゃないかと思う言葉を、
アイリーンの口から聞くことができたのです。

具体的な内容は書いてはいけないかもしれないので控えますが、
シンプルだけど、傍で聞いている自分もすごく幸せな気持ちになれる言葉でした。

突然現れたあの人

アイリーンの次は紅くんも最後の楽屋出を終え。

すべての退団者の皆さんを見送って、ピエールもその場を離れました。

でもずっと立ちっぱなしでものすごく疲れていたので、
ミッドタウンの近くのベンチに座って少し休んでいこうかなと。

さっきスマホで撮った写真を見返しながら、
「もう終わっちゃったんだなぁ……」とぼんやりしていたピエールが、ふと顔を上げると。

 

なんと目の前に、どこかで見たことのあるあの人の姿が!

なんと千秋楽のお手伝いか何かに訪れていたひろきのお兄様が目の前に立っていたのです!

しかも隣には美弥るりかさんの姿も!

ちょうど退団者の皆さんを見送ってご自身も楽屋から出て来たところだったようなのですが、
一瞬の出来事すぎて何が起きてるのか分かりませんでした……!

二つの言葉

千秋楽に紅くんが残した言葉の中で、
特に印象的だった言葉が二つあります。

一つ目は、ショーのフィナーレのデュエットダンス。

銀橋の真ん中で合流するアイリーンを迎えた紅くんは、
満面の笑みでアイリーンに何か言葉をかけていました。

口パクだったのか、このときマイクはオフになっていたのかは分かりませんが、
たぶん誰の目にもはっきりとこう言っているのが分かったことでしょう。

 

「ありがとう」

 

娘役は男役を立てるもの、というのはよく言われることかもしれませんが、
男役にとって娘役を立てながら自分はさらに輝くというのは決して容易ではないと思います。

けれど、紅くんは最後まで相手役のアイリーンを引き立てながら自分も輝き続けてきました。

 

紅くんはいつでもすべての批判は自分が背負う覚悟が感じられて、
「自分の相手役は綺咲愛里しかいない」ということを、言葉で、行動で、背中で、
あらゆる方法で宣言し続けていたように思います。

支え合う、寄り添う、互いに自立する、
今までいろいろなスタイルのトップコンビを見てきました。

けれど、紅くんほど命懸けで相手役を愛し守り抜こうという姿勢を見せてくれたトップスターを、
僕は今まで知らなかったように思います。

紅くんの「ありがとう」という言葉には、
「素敵な相手役になってくれてありがとう」という気持ちがこもっていたように感じました。

 

もう一つ印象的だった言葉は、サヨナラショーでの紅子さんのこの言葉。

 

 

「台風!いい加減にしろ!」

 

 

これ、この日の全宝塚ファンが感じてたことじゃないでしょうか(笑)。

前楽が中止になってしまったり、千秋楽もおそらく劇場や映画館に来れなくなってしまった人も多い中で、
ものすごくネガティブな感情を爆発させたいけれど、
それをやってしまうと紅くんたちのことも悲しませてしまうかも知れない。

そう思って、無理をして笑顔で千秋楽を迎えようと我慢していた人も多いのではないかと。

今日で最後なんだから笑顔で見送ろう。

千秋楽が無事に上演できることを感謝しよう。

台風なんかに負けずに最高に素敵な一日にしよう。

そんな無理やり前向きな気持ちでサヨナラショーを見つめていたところでの、

 

「台風!いい加減にしろ!」

 

こんなスカッとするサヨナラショーあります(笑)!?

 

冒頭に書きましたが、怒りとか悲しみのようなネガティブな感情って、
すぐ傍の誰かが自分以上の熱量でいっしょに怒ったり泣いたりしてくれると、
なぜか少し冷静になるというか、その感情が緩和されることってありませんか?

よりによって千秋楽の前日に台風に見舞われて悶々としていたたくさんのファンの心が、
紅子さんが誰よりも激しく台風への怒りをぶちまけてくれたおかげで、
ものすごく救われたように感じたんです。

あのときの客席の大きな笑い声は、
紅子さんの「いい加減にしろ!」という言葉が面白くて笑っただけじゃなくて、
あの日一日ずっと堪えていた怒りや悲しみが浄化されて、
やっとみんなが心から笑うことができた瞬間だったのかも知れません。

一方でこれもまた不思議なもので、
逆に好きとか楽しいとか嬉しいとかいうポジティブな感情って、
誰かがいっしょに好きと言ってくれたり楽しんだり喜んだりしてくれると、
今度は自分もさらに好きで楽しくて嬉しくなるような気がするんです。

紅くんがアイリーンへの愛情を示してくれるほどに、
自分もさらにアイリーンのことを好きになった時間だったように思います。

 

2019年10月13日。

本当に幸せな一日でした(午前はグダグダだったけど)。

100年を超える宝塚の歴史の中で、
自分が宝塚ファンになってからの時間はそのわずか一部に過ぎません。

だけど、その長い歴史の中で、
紅ゆずると綺咲愛里というトップコンビに出会うことができて本当に良かった。

お二人が歩んだ、決して平坦ではないでこぼこ道は、
そのすべてがこの日の笑顔に繋がるためのものだったように思います。

お二人がくれた時間はあまりに幸せで尊くて眩しすぎて、
どんな言葉で振り返ってもこの気持ちには負けてしまいそうですが。

新しい旅に出たばかりのお二人に、これからも幸せな道が待っていますように。

愛を込めて。

 

 

アイリーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!(≧∀≦)

 

からの、

 

 

紅リーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!(≧∀≦)

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