本当に宙組は20年間生え抜きトップが生まれていないのか?
こんばんは。
七咲ぴえるでございます。
本日ピエールは終日外出中でございますため、
この記事は予約投稿となっております。
今回書かせていただく内容、「そんなこと知ってるよ」って方もたくさんいらっしゃるでしょうし、
もしかしたら既にどこかで書かれてたりするかも知れないのですが。
たまたまピエールの周りではこれを話題にする方がいなくて自分でも初めて気付いたので、
あたかも新発見かのように書かせていただきます(笑)。
先日、宙組の愛月ひかるさんが、
来年の博多座公演の千秋楽の翌日をもって専科へ異動されることが発表されました。
ピエール、あまり「○組ファン」というタイプではないですし、
決して「生え抜き至上主義」ではないので、
極論を言えばご贔屓のスターにはどこの組でもいいからトップになって欲しい、と考えているタイプです。
むしろ男役さんって、組替えを経験したことでものすごく殻を破る人も多い気がするので、
「可愛い子には組替えさせよ」っていう諺にもあるように(ない)、
一皮むけさせるためにも組替えは経験して損は無いと思ったりすることもあります。
そんなピエールでも、ひかるちゃんには「宙組の生え抜きトップになってくれたらいいな~」くらいのことは思っておりました。
その理由は他でもない、今、宙組の生え抜きトップに就任する男役さんが誕生したとしたら、
宙組史上初の生え抜きトップスターとして歴史に名を残すからです。
(トップ娘役は星風まどかさんの就任により初の生え抜きトップが既に誕生済み)
そんな肩書きが自分のご贔屓に与えられるかも知れないと考えたら、
やっぱりちょっとワクワクしちゃいますよね。
でも今考えてみたら、
「ひかるちゃんは宙組で生え抜きトップになって欲しい」と思っていたのは、
それだけの理由だったのかも知れません。
発足から20年が経過した宙組。
「宙組は20年間、男役の生え抜きトップスターが生まれていない」とよく言われます。
でも、本当に宙組は20年も生え抜きトップが生まれていないのでしょうか?
はい。
本当ですよね。(オイ)
いや、でも言いたいのはそういうことじゃないんです(笑)。
1998年に発足してから今まで、
たしかに宙組には生え抜きの男役トップスターは一人も誕生していません。
ちなみにピエールが初観劇したのは2003年、ちょうど宙組が発足して5~6年といった時期でしたが、
この頃は「宙組は5年間も生え抜きトップが誕生していない!」なんて言う人は一人もいませんでした(そもそも当時はTwitterとか見てなかったというのもありますが)。
なぜか?
「5年くらいなら騒ぐことじゃない」からでしょうか?
それもあるとは思いますが、それ以上に、そもそも5年でトップになる男役さんなんて(滅多なことでは)いないからだと思うんです。
84期以降のトップスター
宙組発足の公演は1998年の「エクスカリバー/シトラスの風」、
この公演は84期生の初舞台公演でもありました。
言い換えると、宙組の生え抜きトップになるには1998年以降に初舞台を踏んだ84期からしかなることはできません。
1998年に初舞台を踏んだ84期生以降で、
5年後の2003年の時点でトップになっていたような男役さんはどこの組を見渡してもいなかったから、
宙組だけを対象に「生え抜きトップが誕生していない!」なんてナンセンスな話題は出なかったわけですよね。
なので84期生以降で現在までにトップスターに就任した男役さんを確認してみました(敬称略で失礼致します)。
尚、名前の横のカッコ書きはトップスター就任時の学年です。
84期:音月桂(研13)、北翔海莉(研18)
85期:柚希礼音(研11)
86期:凰稀かなめ(研13)
87期:龍真咲(研12)、早霧せいな(研14)
88期:紅ゆずる(研15)、朝夏まなと(研13)
89期:明日海りお(研12)、望海風斗(研15)
90期:
91期:
92期:真風涼帆(研12)
93期:
94期:珠城りょう(研9)
(もし漏れや就任年の間違いがあったらこっそり教えて下さい)
宙組が発足した1998年以降に初舞台を踏んだ男役さんの中から、
かれこれ12人のトップスターが誕生したことになりますね。
この12名のトップスターの方々の就任年から単純に平均を出すと、
(13+18+11+13+12+14+15+13+12+15+12+9)÷12=13.083333....となるので、
四捨五入して研13での就任が平均的なトップスター就任学年となります。
一番上級生と一番下級生は計算から除外するというフィギュアの採点方式的な計算もしてみようかということで、
最も上級生で就任した北翔くんと最も下級生で就任しているたまきちくんを除外して10で割ると、
(13+11+13+12+14+15+13+12+15+12)÷10=13となり。
「平均」という概念自体に意味が無いという議論もあるかと思うのであくまで一つの目安としてですが、
やはり研13くらいを基準と考えて良いかと思います。
つまり何が言いたいかと言いますとですね、
「宙組は20年間も生え抜きトップが生まれていない」と言いつつも、
初舞台を踏んだ男役がトップスターとなるまでおおむね13年はかかることを考えると、
宙組発足から13年間はそもそも生え抜きトップなんてまだ生まれるはずもなかったのです。
なので強いて言うならば、
「トップ育成猶予期間の発足13年目からさらに7年が経過しても生え抜きトップが誕生していない」
とでもいうのがより正確な表現なのかなと。
「宙組は20年間も生え抜きトップスターが誕生していない」と言いつつ、
「誕生してもおかしくないのに誕生しなかった期間」は実質7年ほどということになるのではないでしょうか。
84期以降の生え抜きトップスター
次に、84期生以降のトップスターのうち、
最初の組配属から組替えを経験せずにトップに就任したいわゆる「生え抜きトップ」は何人いるかを確認すると、
音月桂さん、柚希礼音さん、龍真咲さん、紅ゆずるさん、珠城りょうさんの5人。
はい。
もうお分かりいただけたかと思いますが、
宙組のみならず花組も84期以降の生え抜きトップスターは誕生していません。
ではなぜ「花組は20年間も生え抜きトップが誕生していない!」とはあまり話題にならないのでしょう。
一つの理由は、1998年以降にも花組では愛華みれさん(1999年就任)、春野寿美礼さん(2002年就任)といった、
初舞台後に花組に配属されてそのまま生え抜きでトップスターに就任された方が誕生しているからなのではないかなと。
でも1985年初舞台の愛華さんも1991年初舞台の春野さんも、
共に宙組が発足した1998年よりずっと以前に初舞台を踏んだ方々。
そもそもその頃はまだ宙組なんて影も形も無かった時代ですから、
ずっと前から存在していた組と比較して「20年間生え抜きトップが誕生してない」と言われること自体が無茶な話ですよね。
にもかかわらず宙組だけ「生え抜きトップがいない」と言われるのって、
よく考えたらちょっと可哀想な話だなと。
そしてもう一つの理由は、
おそらく宙組以外の組では「生え抜きトップを生み出さなくては」という感覚自体がそれほど無いのではないかと思います。
それは既にこれまで何人もの生え抜きトップを生み出してきたから今さら生え抜きかどうかにこだわることではないのでしょうし、
宙組もいざ一人目の生え抜きトップスターが誕生してしまえば同じようになるのかも知れません。
そうは言っても、「トップ育成猶予期間」とも言える発足13年が経過してからかれこれ7年、
宙組出身のトップスターが早霧せいなさんしかいらっしゃらないというのはちょっと淋しいことのような気はします。
では何組出身のトップスターが多いのかなと、
先ほどの84期以降のトップスターの方々が最初に配属された組を確認してみると(敬称略)。
花組:朝夏まなと、望海風斗
月組:北翔海莉、龍真咲、明日海りお、珠城りょう
雪組:音月桂、凰稀かなめ
星組:柚希礼音、紅ゆずる、真風涼帆
宙組:早霧せいな
という結果になり、宙組が発足した1998年以降に入団したトップスターの中で、
宙組出身者はやはり他の組と比べると淋しい状況というのはちょっと感じたりします。
なので、生え抜きであることにそれほどこだわる必要はないと思うのですが、
せっかく宙組で育った人材が生かし切れていない、と言えなくもない状況は、
そろそろちょっと省みるべき時代に来ているような気もします。
何でなんでしょうねぇ(´・ω・`)
少なくとも、宙組から誕生した素晴らしい男役さんとして浮かぶ方はたくさんいらっしゃるのですが。
花組と雪組も2人ずつなのでたった1人の差ではありますが、
人間、その1人の差がすごく大きく感じられてしまったりするのですよね。
トップになることだけが……
ピエールはバリバリ文系なので珍しく電卓を叩いたら疲れてしまいました(笑)。
なので計算問題はこの辺にして、ちょっと別の話になるのですが。
「トップになることだけが全てじゃない」という考えがあります。
たしかにこれは素敵な考えだと思います。
「トップになれないなら宝塚に入っても意味が無い」なんて価値観になってしまったら、
トップスターになるほんの一握りの生徒さん以外の存在を否定してしまいますもんね。
でも一方で僕は、やっぱり一度新人公演主演などを経験していわゆる「路線」に乗ったご贔屓には、
最後までトップスターになる日が来ることを夢見て応援したいと考えてしまうタイプだったりします。
もしかしたらご本人は「トップになることよりも少しでも長く宝塚の舞台に立ちたい」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんし、
ファンが勝手に「いやそこは何とかトップを目指していただいて」って夢を押し付けるのは身勝手だとは分かっています。
実際、僕も宝塚ファンになってしばらくは、
「すべての人がトップになりたいって思ってるわけじゃないんだろうな~」と思っていたので、
「ファンが勝手にトップになることばかり夢見て応援し続けるのって重荷なんじゃないか」と考えていました。
でも、これまでにその考えが少し変わった出来事がいくつかありました。
その一つが、数年前に元専科の樹里咲穂さんのインタビュー記事を読んだことです。
僕が宝塚ファンになった頃は樹里さんは既に専科で活躍されていて、
各組に特別出演した際は二番手ポジションを務めていたものの、
既に下級生のトップスターも誕生してきていたため、
まだ宝塚の右も左も分からない状態ながら「樹里さんにもトップになって欲しいけどなれないのかなー」と漠然と思いつつ見ていました。
だから樹里さんの退団発表があったときは、本当に淋しかったのを覚えています。
でも樹里さんってとにかくいつも笑顔で面白くて楽しそうな方なので、
「別にトップになりたいとかは思ってないのかもなー」と思っていました。
しかし退団から何年も経ってからのインタビューで当時の気持ちを聞かれ、
「最後までトップスターを目指していた」と語っていたのです。
これを読んだときに、
「樹里さんのようにただ自分のポジションで満足そうに見えていた人でも、やっぱりトップになりたいという気持ちはあったんだな」と思ったんです。
と同時に、どんな難しい状況になってもトップスターになる夢を持ち続け、
退団から何年も経った後でその気持ちを隠さずさらけ出した樹里さんに、
改めて尊敬の念が湧いてきて、ますます樹里さんのことが大好きになりました。
普段あまり活字を読むことの無いピエールですが、このインタビュー記事は今でも時々読み返しています。
そしてもう一つは、ひかるちゃんと同じく宙組出身の七海ひろきのお兄様主演のバウホール公演「燃ゆる風-軍師・竹中半兵衛-」の千秋楽のご挨拶。
その挨拶の冒頭でお兄様は、
「研3で初めてバウホールの舞台に立たせていただいたとき、いつか自分も物語の主人公としてお客様に何かを伝えたいと心の奥底で思っていた」
と語っていました。
七海くんファンになってから決して長い時間が経っていたわけではありませんでしたが、
「七海ひろきの主演が観たい!」とずっと願いつつも、
もし本人がそれほど真ん中に立つことを望んでいないとしたら一方的に主演を望むのは重荷なのだろうか?
という葛藤がずっとあったんです。
だから、七海くん自身の口から「主人公を演じたかった」という言葉が聞けたとき、本当に嬉しかったのを覚えています。
本当に本当に嬉しかったんです。
今まで聞いた七海くんの言葉の中で、もしかしたらこれが一番心に刻まれている言葉かも知れません。
宝塚って不文律のようにいろいろと言葉にすることをタブーとされるものがあるので、
あからさまに「将来はトップスターになりたいです!(⌒∇⌒)」って宣言する現役生ってそうそういないですよね。
でも実際は、多くの生徒さんがトップスターになることを夢見て入団していると思うんです。
もちろん「たまたま樹里さんはトップスターを目指していた」というだけなので、
それを「他の人も全員そうに違いない」と当てはめるつもりはありません。
でも少なくともピエールの感情の中では、
自分のご贔屓が舞台に立っている限りは最後までトップスターになれる日がくることを夢見て応援しよう、
と考えるようになりました。
「トップになることだけがすべてじゃない」というのはすごく素敵で温かい気持ちですが、
一方で、数々の理不尽な人事を受け入れるために仕方なく植え付けられてきた価値観でもあるような気がします。
僕が今応援しているスターの中には、
これからトップになれるか微妙な境遇の人、
あるいは少しでも諦めたらそこで夢は終わってしまう崖っぷちかも知れない人も何人かいらっしゃいます。
専科に異動となるひかるちゃんも、そんな「今が正念場」の一人かも知れません。
ひかるちゃん自身が今、トップになることを目指しているのかどうかは、
僕はひかるちゃんに直接気持ちを聞いたわけでもないので分かりません。
「トップになることよりも、一日でも長く宝塚にいて欲しい」と思う方の気持ちを否定するつもりも全くありません。
でも、それでも僕は自分のご贔屓が宝塚の舞台に立っている限りは、
いつかトップになれる日が来るかもしれないと諦めずに応援したいのです。
ひかるちゃんは「不滅の棘」で初めての東上主演を果たしたとき、
「バウホール主演を経験したら、やっぱり東上主演が次の目標だった」と話していました。
それだけ明確に一つ一つのステップを意識して男役道を愛し貫いてきたひかるちゃんは、
やっぱりトップスターになるという夢を抱いているのではないかと思うし、
愛月ひかるという男役はその夢にふさわしい人だと思っているからです。
一つの公演を何回も何十回も観に行っているような方からしたら、
「お前の応援の仕方なんて何の力にも貢献にもなってないよ」って言われるかも知れませんよね。
「博多座行くのも躊躇しているような奴が偉そうなこと言ってんじゃねーよ」って言われたらグゥの音も出ません。
そう考えると、自分みたいにろくに貢献もせずに夢だけ語ってるのはうるさいだけで迷惑な「エセファン」かも知れないと、
最近よく思います。
それでも、やっぱり自分の好きな人を応援します。
応援にもならないようなミジンコみたいに小さな声でもいいから応援し続けます。
「初の生え抜きトップ」なんて肩書きはもうどうでもいい(と言いつついざ誕生したら興奮すると思うけど)。
たくさんのファンの思いを背負って、努力の果てに自らの力でトップスターという場所に辿り着けたとしたら、
それは生え抜きかどうかに関わらず何物にも代えられない価値があると思います。
だからどんな形でも、ひかるちゃんがトップスターとして大劇場の舞台の真ん中に立つ日が来ることを夢見て応援し続けます。
ひかるちゃん。
いや。
ひかるちゃん(2回呼んでみただけ)。
勝手な言い分でごめんだけど、よろしくね!(この台詞がツボなピエール)
長々と勝手なことばっかり偉そうに書いてしまいましたので、最後に。
主張が強いめのフラミンゴ置いときます。
どさくさにまぎれてアザラシも置いときます。
ご清聴ありがとうございましたm(_ _)m
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